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柔瓶77の「限界芸術生活」生きるヒントを模索します。うさぎSF

うさぎSF散文

・・・気が付いた。突然眠りからバッチリ意識が冴えるあの感じで、気が付いた。ここはどこだろう。気分と意識は冴えてはいるが何でこの場所にいるか、ここがどこなのか、何も分からない。辺りを見回してみる。どうやらどこかの国の繁華街の一角のようだ、私はビルディングの壁を背に立っている。快晴、雲ひとつない青空だが日差しの勢いはない、そうか今は冬なんだっけ。・・・いや、それすらも覚えていない。こんなのはパニックに陥って当然といったトコだが、今のところそれはない。妙に落ち着いている。私は今「完璧に穏やかな状態」だ。とりあえず視覚情報が脳みそに流れ込んでくるのと元々持っているはずの記憶が湧き出してくるのを待ちながら私はそのまましばらく立ち尽くしてみようと思った。


机の上のパソコン画面に向かっている。キーボードが真っ白なヤツなので照明の反射がやや鬱陶しい。文章作成用のウィンドウもデフォルトではだいたいが白い。目の前はかなり明るいということになる。どうでもいいが白い画面を表示することはパソコン画面の色彩表示において一番電力を消費するそうだ。赤・緑・青、光の三原色のすべてをフルパワーで使用するかららしい。当然熱も一番高いんだろうな。そんなことを考えながらキーボードを打つモノだからやたらと打ち間違えをするのであった。

 

らび、僕は夢想するのだ。この机にオマエが居る「あたり前の風景」。基本的にオマエはオマエの都合で生きているから、僕が忙しかろうがイライラしていようがお構いなしだろうな。キーボードをぶったたく手の上をまたぐし飛び越えるし、フンだってそこらじゅうに散らかしたおす。オシッコはさすがに勘弁してもらいたいモンだけどオマエの生理現象を止めるものは何もないし、僕にもその権利はない。腹が減れば食べ物を催促して僕に甘えてくるだろう。ほったらかしていると拗ねて毛づくろいなどはじめてしまうだろう。ウサギの毛づくろいほど可愛らしく愛おしいものはこの世にない、と僕は思っているのでその様子に僕は手を止める。もうちょっと、角度27度ぐらい左に回り込んで眺めたいと思ってそうすると椅子をガタッと鳴らしてしまう。音に敏感なオマエはビクリとして音の方に顔を向け緊張状態、毛づくろいを一時やめてしまうのだ。いやいやゴメンな、しょうがないから葉っぱをあげよう。そこら辺に生えていた乳草だ、オマエ達の大好物。タンポポみたいな花が咲く、背が高くて葉にトゲがあるアレ、茎を折ると白い液が出てくるアレだ。昔は婆ちゃんがよくそれを道端でむしってきてくれたものだ。夢中でソレを食うオマエの姿を眺めながら僕はまた意地悪にも椅子をガタッと鳴らす。ビクッとするオマエの仕草が見たいからだ(笑)

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